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時効取得と登記(少し自慢したい話)

 かなり面倒で時間も智慧も必要な事件を解決することができた。若干の自慢話である。
 最近,被告が77名の事件の訴訟を提起した。所有権の登記が明治44年にされている土地を購入した人が原告であり,私の依頼者であった。なぜ,77名もの被告が存在するかというと,前記明治44年(即ち102年前)に登記された人の相続人が現時点で77名いるということである。
 その土地の売主は当該地のすぐ近くにすんでいる人で,自分名義に登記を移転したあとで,買主名義にしようと考えていたようである。しかしことは簡単ではない。まず相続人の調査が必要だが,次から次に戸籍を手繰っていかなければならない。売主はこれに着手はしたようだが,途中であきらめた。また,仮にそれができたとしても,今度は現在の相続人全員の同意が必要である。とはいえ一桁の人数なら同意を得るよう試みる価値はあるだろうが,二桁になるような場合は全員から同意を取り付けるのはまず不可能である(全員から印鑑証明書付の書面―相続分の譲渡証明書あるいは遺産分割協議書―を取得する必要がある)。100年以上も前に生きていた祖先名義の,聞いたことも見たこともない土地について,「あなたが相続人の一人である。ついては,あなたの持分も売ったが,登記をするために印鑑証明書付の書面をくれ」と言わなければならない。事情を説明したところで,胡散臭い話として警戒されるのがおちだろう。
 私の事務所で,相続人は半年近くかけて調べた。40~50名かな,と思っていたが結果的には77名いた。謄本等の取得費用だけで30万円近くかかった。
 問題はここからである。さてどういう形で登記までもっていけるだろうか。結局私が考えたのは,時効取得による共有者全員持分全部移転登記手続訴訟を起こす。そして判決による登記をするということである。複雑な登記をするためには,法務局との事前打ち合わせは欠かせない。そのため,何度か管轄法務局に相談に行き,あるいは書面で照会をかけ,「いけるかも」という感触を得た。
 次に裁判所である。まずどこの裁判所を選ぶかという問題がある。手続的にもかなりややこしい部分があるので,複雑な事件に慣れた裁判所がいいと考えて提訴裁判所を選んだ(被告の誰かの住所地であれば,その地を管轄する裁判所に訴えることができる)。
 そのうえで次に問題になるのが「送達」である。77名中の一人は外国にいるようだった。国内ならばともかく,外国にいるとなると・・・・。全員に訴状が届かなければどうにもならない。さらに被告らの中には高齢者もいる。この人たちの誰か一人が亡くなれば,また手続きが煩雑になる。訴訟能力がない人もいるかもしれない。悩みはつきない。
 しかし,これらの問題も何とかクリアーできた。多少紆余曲折はあったが,判決までたどり着くことができた。
 とはいえ,これで安心するわけにはいかない。今度は登記である。代位による相続登記を二十件以上行った後最終の時効取得の登記をしなければならない。事務作業は複雑であり,煩雑である。これも再度法務局と相談して何とか登記までこぎつけることができた。
 登記が完了して,達成感を味わうことができた。依頼者にも胸を張って「できましたよ」と報告することができた。
 この事件を解決できたのは,たぶん私が司法書士経験のある弁護士だからだろうと思う。弁護士は問題を法廷にもっていき,裁判所の判断をうけるのが仕事である。司法書士は,法務局に登記申請をするのが仕事である。一方の知識,経験だけではこの問題を解決して登記まで持っていくのは困難だったように思う。少し自慢したい気分になっている次第である。
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