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日弁連会長選挙と法曹人口論

日弁連会長選挙がはじまった。4人の候補者がいるが,法曹人口問題については,3人は司法試験合格者数を1500人にする,と言っており,他の1人は,減員のために法科大学院を廃止せよ,と言っている。
 マクロの制度論については,私は減員反対だが,まあ,そういう主張をするならご自由にという感じではある。
 ただし,一点許せないのは,どの候補者も渦中の人(すなわち法科大学院に通っている人,卒業して受験中の人,さらにいえば三振した人)に対する配慮が全くないことである。「3000人合格」「法科大学院卒業者の7~8割合格」,そう言われて進学したのである。事情を知らない“馬鹿者”どもから「甘えるな」という声が聞こえてきそうであるが,「甘え」ではない。2~3割しか合格しないのなら最初からそういってくれ,1500人しか合格させないのならこれも初めからいってくれ,と主張しているだけである。ある選択肢の「リスク」が高いのがわかっていれば,その選択は自己責任である。司法試験の合格率が低くて合格できなくても最初からそれがわかっていれば,甘んじて受け入れよう。ところが,法科大学院制度は,後出しじゃんけんばかりである。私は初年度の進学者であるが,その進学者が受験するときの合格者数が,入学後も決まっていなかったのである(7割から8割という議論を前提にして進学しているものが多かった)。ところが,実際には4割程度の合格でしかなかった。一年生在学時新聞に合格者数の予測がでたとき,私も含めて社会人出身者3人で昼食をしていたが,みんな「こんなことなら,仕事をやめて法科大学院にはこなかった」といった。それ以降,ここ7年間ほど,合格者数については後出しじゃんけんの連続である。当初,平成22年には合格者数が3000人になるはずであった。それが,未だに2000人である。この合格者数をどこで決めているのかも全く不透明である。法務官僚と裁判所,検察庁,弁護士会の「優秀な」法曹三者が,司法改革の議論をいつのまにか放り出し,制度をいじり倒しているのだろう。
 さる高名な裁判官がいる。司法研修所の所長でもあったし,いまはどこかの地裁の所長をしているようである。この裁判官が新聞で「質が確保できなければ,合格者数が減るのはあたりまえ」などと言っていた。しかし,過去の司法試験の歴史を知っている人間から言えば,何を言っているのだ,という感じである。そもそも,司法試験合格者数が絶対基準で決められていたことなどない。まず数をきめて,その数だけ合格者を出していたのである。この裁判官は,合格者数を予定より低く抑えることを正当化しているだけである。
 また,この裁判官は,同じころ法科大学院の必修科目の「法曹倫理」の教科書を出版していた。私は無性に腹がたった。少し説明しなければわかりにくいだろうが,要するにこの人は人間性に対する理解がないか,あるいは強者の論理でそれを無視していると感じたのである。
 「法曹倫理」が役にたつのは,弁護士になったときである。大事な科目であるとは思うが,しかし,司法試験の科目ではなく,受験自体には何の役にもたたない。この裁判官のいう「質」と法曹倫理とは全く関係のない受験科目の成績のことである。
 2~3割しか合格者のいないときに,受験と全く関係のない(合格して弁護士となって初めて意味のある)「法曹倫理」の勉強に身がはいるかどうか,自明の理であろう。いいとか悪いとか言っているのではない,それが人間というものだろう。そして,受験科目の成績が悪ければ(質が確保できなければ)落とすのは当たり前,と言っている人間が,受験科目とは関係のない「法曹倫理」の教科書を出版して受験生に勉強させようとしているのである。
 この人は,「法曹倫理」の授業の際,後ろの席に座って内職をしている人間の気持ちなどかけらもわかってないか,そんな人間などどうでもよいと考えているのだと私は思った。だから腹がたったのである。
 マクロの法曹養成の制度論や数の問題になると,こうした官僚,法曹三者の強者の論理しか通用しない人間ばかりが発言しているように思えてならない。制度の渦中で「しんどい思い」をしている学生,受験生の立場に配慮している発言などついぞ聞いたことがないような気がする。今回の日弁連の会長選挙での,法曹人口論もまた同じである。
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